某商業BLに心を抉られた話

腐女子の皆様こんにちは、腐女子です。

当方もう腐って10年以上なんですが、商業BL自体はほんとに嗜む程度です。

最近はソシャゲやらSNSで見かける二次創作やらでおなかいっぱい。歳かな?

 

ただ、一人のBL漫画家さんの新刊だけは、夜勤前の仮眠時間を削ってでも発売日の内に買いに走ります。

先日本屋に行って、目的無く本棚を眺めてたんですが、最近のBL棚はジャンル別で分けられてるんですね。作品ごとに分けられている棚でもまるでその方だけ作家別で分けられたかのように『コア』の棚にほぼ全巻ありました。わかる。

 

そんな方のある作品が、少し前に上下巻で新装版として発売され、完結しました。

(商品画像やこのへんで作品かわかった上で未読な方、もしくは未読作品はネタバレ踏みたくないって方は続き読まないでくださいね)

いや続編あっても全然いい。でも今後を妄想させてもらえる感じなら私は結末はこれでいい。続編なくても全然いい。私は続編希望しない派。

 

BL漫画って、腐女子はどういう視点で読んでるの?って話題が一時期ありましたが、壁とか天井とかその場の空気とか、とにかく自分は他者なんですよね。というか自分が受けに感情移入してたら夢じゃん?まあそんな楽しみ方もアリですけど。

私も完全に観客として読んでましたが、その作品の攻めにあたる人に心当たりがありすぎる。

そう。好きな人を自分の物にしようとしてた私に。

恋愛に関して、私は計算をしないと気が済まない性分で、とくに両思いになるまでの計算はなかなかに細かかった。今となっては思い出すだけで疲労感がこみ上げるが、当時は生き甲斐のように好きな人の好感度上げに執着した。本当に『手に入れるためならなんでもやった』。

 

某作品は、ざっとしたキャラのプロフィールで言えば何にもコアじゃないBLなんですよね。

不器用に頑張る受けに惹かれた攻めが、数年後に同じ職場にやってくる。もちろん計算。この後受けはいろいろとひどい目に合うのですが、それを攻めに助けられる。頑固で社会では生きづらい性質の受けは、ちゃらちゃらしてるが自分のことを助けた攻めに徐々に心を開き始める。王道のよう。少女マンガかもしれない。

ここまでは普通の?BLですが、コアに分類される作品だということをお忘れなく。

受けにふりかかる様々な事、これ全部攻めが仕組んでました。(はじめてのおつかいナレーション)

上巻は、そんな攻めの行動を受けが知らぬままにちょっといちゃついて終了です。

読者は上巻終盤で驚かされて終わります。この攻めの行動を見抜くキャラ(女装男子)もいるので、上巻終盤から下巻にかけて読者はこの女装男子視点で読んだ人も多いんじゃないかな?と思います。

 

下巻では、後輩キャラが現れたり上巻で悪役扱いだった人が帰ってきたりとありますが、何よりの問題は攻めの完璧だと思った計画が崩れていくこと。受けにも今までの行いがバレてしまいます。

ほんとも~~~勘弁してくれよ。私も自分の作戦がばれたらこうなっちゃう可能性大だったしな。なんか別視点で胸を痛めて下巻読んだ。

自分の物にした筈の受けに拒絶され、もう自分の物にしても意味がなくなっちゃった。

絶望した攻めは長期休暇というかたちでひきこもります。まあ職種が接客業なので、自分の担当客を受けに任せるよ、みたいな形になるのですが。その攻めの常連客がその場にいない攻めを彷彿とさせる。女装男子は気が付いてましたが、いい手段ですよねコレ。まんまとお人よしの受けは様子を見に行ってしまう。

 受けが攻めを説得しているあたりから、攻めは今までの覇気など無くなり、気弱で、受けへの態度も呼び方もよそよそしくなる。結局受けと働いた職場をへにゃへにゃと退職するんですが、女装男子と話したときはいつもの調子に。ここの二人の会話からの攻めの最後のセリフが大好きなのでぜひ読んでほしい。いや味わってほしい。

 

 月日が少し経ち、受けは攻めが独立して店を構えたことを知ります。しかも職場のみんなは知ってて、受けだけが知らなかった。

見に行っちゃうんですよね、受けは。『たぶんあいつ 俺がいないとだめっぽいし』。

ああ羨ましい。私も、これほど目当ての人の心に刻みつけられたらよかったのに。

雑誌に載った攻めのインタビューには受けを思わすようなメッセージがあったりして、女装男子は攻めのもとに行く受けを見送ります。行かないほうがいいとは口に出さず。

そして見送りながら雑誌を読んで、攻めの執着ぶりを気持ち悪がりながらも思います。

『ちょっとうらやましい ちょっとだけ』。

受けが自分の店に来るのを知ってたかのように(きっと知ってたよね)出迎える攻めで物語は終了。後日談みたいなおまけではなんだかんだでぎこちなくもライトに攻めが受けに好意を伝えてたりするんですけどね。

 

いまいち記事タイトル回収できてませんね。します。

時々気味悪く灰色文字を入れていましたが本心です。下巻後半からは私にしては羨ましい限りでした。

私は好きだった同性に告白まがいのことをさせるまでしました。が、彼女の将来を優先しました。彼女は性格こそ難ありでしたが、能力は優秀でしたし。同じように優秀な彼を見つけ幸せに素敵な 人生を送ってほしいと思ったから。素敵で大人な判断だったでしょうか?

実際はもう10年近く経つのに何一つ忘れられず、きっともう非処女の彼女に執着し続けています。連絡先はほぼすべて断ち切りましたが。

記事の初めの方に述べた、私の両思いになるまでの計算というのはこの彼女の為だけに使いました。

別々の高校に通うことになった私は、あなたが居なくても高校生活は充実してますよ、と言わんばかりに友人を活用し、彼女を嫉妬させるなどお手のものでした。そして覚えたてのツイッターやメールで、不安にさせたり優しくしたり、直接会うときはそっけなくしたりなども。こんなのはほんの序盤の技術です。まんまと私のことを好きになってくれました。

ゴールを決めておかないと、私はきっと彼女をどこまでも自分の物にできると思っていました。思い込みかもしれないし、実際できたかもしれない。ついに告白とまではいきませんでしたが、及第点のようなかたちでゴールに届いたので、そこで終了としました。なので、私の物語は終了。

紹介した作品、上下巻の新装版となる前には1巻として上巻だけ発売されて、2年くらい空いてるんですよ。新巻として1巻を買って読んだときは、自分と同じように作戦勝ちする攻めに本当に共感したし、嬉しかった。だからこそ、自分が断ち切った私の物語の続きが読める気がして、それはもう胸が高鳴った。待ってる間の2年間、思い出すだけでわくわくした。私のこの恋愛事情を打ち明けた唯一の腐女子仲間には、もうこの攻めお前じゃ~んwなんて言われましたが、当時はそれすら嬉しかった。

下巻を読んで(実は苦しさのあまり数回本を閉じて休憩を挟みながら読んだ。)、ああ羨ましい、ズルい、やっぱり手放すんじゃなかった。が本心でした。

ただ攻めの不屈の精神には感化された。

ああ悔しい。私が男であったら。もしくは彼女が異性であったら。

いや、性別は関係ないね、性別を言い訳に諦めたことを美談のように語る自分に嫌気がさしてくる。

もう彼女は私が望む彼女ではないので永久にいい思い出として、美談として勝手に残すけど。やっぱり好きな人のために生きてる時っていうのはこの世で唯一といっていいレベルの生を感じられるよね。

今は一人でいるのも楽しい。けどこの作品を読み返す度に胸中掘り起こされるんだろうなあと思う。もう何度も読み返し、なんならコラボバーに行くなどしたくらい(ドエムか?)この作品は大好き。作家さんも好き。生きづらい恋愛しかできない生きづらい性質の私が共感できる作品に出会えるなんて思わなかった。

ありがとうございました。

 

 

最後に

龍来ちゃん最高!大好き!

 

カラーレシピ(上) (ディアプラス・コミックス)

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